皆さんは、「特別な体験ができる場所」と聞くとどこを思い浮かべますか?

 今回は、特別な体験を提供してくれる店「津軽天然藍染川崎染工場」を紹介していきます。

 弘前公園の目の前に位置する情緒あふれる雰囲気のお店。建物は昔ながらの造りで、江戸時代から続く長い歴史を感じられます。

店内から見える外の様子

 この津軽天然藍染川崎染工場は、江戸時代から250年創業を続ける歴史あるお店です。
 店内は創業当時の造りを残しており、どこか時間の流れもゆっくり感じるような雰囲気。
 店内を見渡してみると、見慣れない扉や天井に心も弾みます。

 店内には、藍染のアクセサリーやのれん、ティッシュケースなど様々な商品が並んでいます。
 どの商品もとても素敵で、見ているだけでもわくわくします。

店内の商品の様子

 ここ津軽天然藍染川崎染工場で、藍染の体験を提供するようになったのは、平成4年のことです。

 江戸時代に創業が始まった当時は、弘前市内にも沢山の紺屋が存在し、人々は日常的に藍染の商品を手に取っていました。その後、時代が大きく変化し、化学染料が開発されたことで、この店を含め、数多くあった紺屋はすべて廃業に追い込まれることになります。

 そして時代が変わり、平成の時代に入った時に、大きな転機が訪れました。平成初期、弘前に多大な被害を及ぼした「リンゴ台風」の影響によって、建物は一部崩壊してしまうことになります。ですが、驚くことにその影響により、床下の土の中から、11もの藍甕が見つかったのです。

 これによって、「このまま営業を続けないのはもったいない!」と感じた当時の家主によって、お店は再開するに至ったのです。そして、この時期から藍染の体験の提供が始まりました。

発見された藍甕の当時の写真

 ここまでの説明で、これまでの藍染の歴史や体験をするに至った経緯については何となく知っていただけたのではないでしょうか?

 それでは早速世界で1つだけのオリジナルの作品を作る、特別な体験「藍染体験」について詳しく見ていきましょう!

 まず最初にすることになるのは、様々ある藍染の柄の中から今回製作するものについて決める作業です。

 1つ目が「銀河花火」と呼ばれる柄で、特殊な籠を用いて花火のような柄に仕上げるものになります。
 2つ目が「むら雲」と呼ばれる柄で、こちらも同様に籠を用いて柄を出すものになります。先ほどの「銀河花火」とは柄のつけ方に違いがあるようです。
 3つ目が輪ゴムを用いた手法で、先ほどまでとは異なり、自分で出したい柄に合わせて、生地を輪ゴムで縛って柄を出すものになります。

 今回は、「銀河花火」の柄で染める工程を見ていきましょう!
 早速柄を作る作業です。この作業で最後に染まる柄の良しあしが決まってしまいます!両手を駆使して柄を作るのは、なかなか難しそうです。

紹介された藍染の柄(3種類)
生地の模様を製作する様子

 柄ができたら早速染めていきます。使用する藍によっても色の出方がかなり異なるので、すべての作品が唯一無二といえます。

 ここで用いる藍汁は、1つ1つ人の手で管理されており、染めることのできる液になるまでに、沢山の工程と時間が必要になります。
 また、できた液はたったの1年で染まらない液になってしまいます。そのため、一般の私たちの手でこれらを管理するのはかなり難しく、職人の方々の手で細かい管理をしてやっと染めることのできる液になります。

 実際に染める作業では、2分間全く動かないようにしなければならないので、体力の必要な作業となります。藍のきれいな色が入るまで、この作業を繰り返します。

染めている最中の様子
染めあがった直後の布の様子

 染めの工程が終わったら、生地を水で洗います。最初は少し緑がかった生地が、水で洗ったことできれいな藍色に染まったのを見ると、その美しさに感動することでしょう。

 最後に、生地が乾燥するの待てば、藍染のハンカチの完成となります。

布を乾かす作業の様子

 ここまで、藍染の製作工程について紹介してきましたが、興味を持っていただくことはできたでしょうか?

 実際にお店の方に、藍染の体験を提供するにあたって特に心がけていることについて質問してみました。
 何より一番大事にしていることは、「お客さんにとにかく楽しんでもらうこと」でした。
 海外からのお客さんが来ることも多いことから、言葉が伝わらない場面も多々ある一方で、すべてのお客さんが「藍染を体験してよかった」と思えるよう、ジェスチャーを用いたり、英語表記の説明を様々なところに掲示したりなどの工夫をすることで、お客さんの気持ちを一番に大切にしながら体験活動を提供してるようです。

 素敵な思いがたくさん詰まった藍染。

 大切な思い出がこもった藍染。

 自分の手で作った世界でたった1つだけの作品。
 皆さんもぜひ、そんな「特別な体験」してみませんか?

外から見た店の様子

〈店舗案内〉

【住所】
〒036-8332
青森県弘前市亀甲町69−1

【営業時間】
9:00 AM – 5:00 PM
9:00 AM – 4:00 PM(11月〜3月)

【電話番号】
 0172-35-6552

【Instagram】
https://www.instagram.com/kawasaki_somekojo/

【定休日】
木曜日

【お店のマップ】

【お問い合わせ】