弘前城北門からでて武家住宅が見えた先、趣のある建物が見えてくる。店の入り口には「アップルパイ」の文字が書かれた赤いりんごの看板が立てかけられている。
弘前市の伝統的建造物群に囲まれて喫茶店を営んでいる「珈琲はなまる」。店主の山田恵美子さんは昔から珈琲が好きで、一人でも気軽に入れるような喫茶店を営んでみようと思い立ちここで喫茶店を始めたそうだ。開業して26年になるといい、最近は外国人観光客も多く訪れるようになったため英語のメニューも置くようになったという。

おすすめのメニューである自家製アップルパイはりんご本来の味が感じられるようにこだわって作っているという。また、当店では2種類のアップルパイを提供しており、「“ふじ”というりんごの種類がほとんどのお店で使われているが、当店では”紅玉”というお菓子に適したりんごを使ったアップルパイも提供している」と山田さんは話した。


他にもこの喫茶店では「藩士の珈琲」という幕末当時の淹れ方を利用したコーヒーも提供している。普通のコーヒーとの違いは“淹れる際の道具”にあり、一般的なドリッパーを使用せず、麻布の袋に珈琲粉を入れ、急須を使って注ぐという特別な工程を踏んで作るものである。珈琲好きにはぜひ飲んでもらいたい。(筆者は苦いコーヒーがまだ飲めないため、山田さんのご厚意で藩士の珈琲を淹れる際の道具だけ見せていただいた)

アップルパイだけでなくトーストやあんみつといった多岐にわたるスイーツを提供している珈琲はなまる。中でも山田さんがおすすめするメニューは自家製アップルパイとシフォンケーキである。筆者は自家製アップルパイ(ふじ、紅玉)とシフォンケーキ(抹茶、プレーン)を頂いた。

シフォンケーキはふわっとした口当たりであり、くどさのない甘みがとても満足感があった。また、シフォンケーキにはあんこ、クリーム、ブルーベリージャムの3種類のソースを好みで付けられるような仕様になっており、特に筆者がお勧めしたいのは「プレーン×ブルーベリージャム」である。シフォンケーキの甘さとブルーベリーの酸味が相性抜群で、夢中で食べてしまうほど絶品のシフォンケーキであった。
また、2つのアップルパイを食べ比べすると甘さに明らかな違いがあった。ふじは甘さを引き出した王道のアップルパイであるのに対して、紅玉は甘さよりも酸味が強く、さわやかな味わいを楽しむことができた。パイ生地もぎっしり詰まっているわけではなく、サクッとした軽い口当たりで味わえるため、りんご本来の食感も楽しめるようになっている。飲み物も多くの種類があり、筆者が飲んだレモネードは酸味が強く、スイーツに合わせても口の中がさっぱりとしてとても美味しかった。暑い夏にぜひ頼んでみてほしい。
珈琲はなまるではアップルパイのテイクアウトを行っているため、店内の雰囲気を楽しみつつスイーツを堪能したい人にも、一人の時間でゆっくりと甘いひと時を味わいたい人にもおすすめである。ふと一息つきたくなった時、歴史の情緒あふれる空間で素敵な甘味を味わってみてはいかがだろうか。
珈琲はなまる
営業日 10:30~18:00 (定休日:水曜・木曜)