薪窯の前でピザを作り出すと自然と店中の視線が集まる。

弘前市にあるピザ店「ピッツェリアピエノ」には、おいしいピザだけでなく、人とのつながりを大切にする店主の思いが詰まっている。今回は、私がアルバイトとして働くピエノで店主夫妻に話を伺った。

店舗外観の様子:木のぬくもりを感じる落ち着いた雰囲気が特徴のピエノ

店主の人生を変えたナポリピッツァとの出会いとは

店主はもともとイタリア料理の世界で働いていた。

転機となったのは、知人に紹介された一軒のピザ屋だったという。

そこで食べたのは、シンプルなピザ「マリナーラ」。

それまで食べていたジャンキーなピザとは全く違う、本場のナポリピッツァの味に衝撃を受けた。

「こんなピザがあるのかと思いました。」

その感動がきっかけとなり、ピザ職人の道へ進むことを決意した。

【ピザを焼く店主(比嘉大貴さん)の様子】

店名「ピエノ」に込めた思い

店名の「ピエノ(Pieno)」は、イタリア語で「いっぱい」「満たされる」という意味を持つ。

そこには店主のさまざまな願いが込められている。

いっぱい食べて、お腹いっぱいになってほしい

大切な人とピッツァを通していっぱい笑顔になってほしい

そして食を通して四季を感じ、いっぱい素敵な思い出をつくってほしい

また、地域の生産者ともいっぱいつながりたいという思いから、実際にピエノでは地元の農家から仕入れたトマトやバジル、ニンニクなどを使用している。料理だけでなく、お皿にも地元の作家の作品を取り入れるなど、地域とのつながりを大切にしている。

【地元食材(県産のトマト)や店内の様子】

同じピザは作らない。その瞬間の最適解を追い求めて

店主に「ピザ作りで絶対に妥協しないことは何ですか」と尋ねた。

返ってきた答えは、生地づくりだった。

毎朝必ず天気予報を確認し、気温や湿度、室温に合わせて水分量を調整する。

さらに営業中も、お客様にベストな状態で提供できるよう逆算しながら生地の発酵を管理しているという。

ピザは見た目こそ同じでも、その日の天候によって状態が変わる。

だからこそ毎日同じ作業を繰り返すのではなく、その日ごとの最適解を探している。

また、店の薪窯にも強いこだわりがある。

遠赤外線による焼き上がりを重視し、日本製の薪窯を使用。燃料には青森県産の白神山地の木を使用。白神山地の森林を健全に保つための間伐材や伐採木を活用した薪を使用している。太陽の光が森全体にいきわたるように適切に伐採された木を有効活用することで、豊かな自然環境の維持にもつながっている。

おいしさだけではなく、環境や地域とのつながりも意識したピザ作りを続けている。

【薪窯と店主の写真】

「まずはこれを食べてほしい」店主イチ押しのメニューとは

店主が最も思い入れのあるメニューは、店名と同じ名前を持つ「ピエノ」。

イタリア料理からは切っても切り離せないトマトとニンニクを主役にした一枚だ。

さらに、店主にとってこのピザには特別な意味がある。

使用している食材は、店を始めて最初につながった農家から仕入れているもの。

店主にとって、人とのつながりの原点でもある。

「うちに来たら、まずこれを食べてほしいですね。」

そう語る表情からは、このピザへの深い愛着が伝わってきた。

【焼きたてのピエノ】

弘前だからこそ生まれるつながり

店主が弘前の魅力として挙げたのは、人との距離の近さだった。

農家とのつながり。

常連客との会話。

地域の人との交流。

東京などの大都市では味わえない温かさを感じるという。

印象に残っている出来事について尋ねると、あるお客様から掛けられた言葉を教えてくれた。

「弘前にこんな素敵なお店をつくるために移住してくれてありがとう。」

その言葉は今でも忘れられないという。

【店内とお客様の様子】

「また来るね」が最高の褒め言葉。店主が一番うれしい瞬間とは

店をやっていて一番うれしい瞬間は何か。

そう聞くと、店主は迷わず答えた。

「また来るね、と言ってもらえることです。」

料理がおいしいと言ってもらうことはもちろんうれしい。

しかし、それ以上に再び足を運びたいと思ってもらえることに大きな喜びを感じるという。

店主は、「新規のお客様を一生のリピーターにしたい」という思いで日々接客をしている。

その根底にあるのは、単に食事を提供するのではなく、お客様の幸せな時間を支えたいという考えだ。

誕生日や記念日。

家族との食事。

友人との大切な時間。

そんな特別な瞬間のお手伝いができることが、この仕事の魅力だという。

【海外からのお客様との接客風景】

尊敬し続けることが店を続ける力になる

ピエノは夫婦で営まれている。

意見がぶつかることもあるそうだ。

しかし、お互いが納得するまで話し合うことを大切にしている。

「成長を止めず、お互いを尊敬し続けること。」

それが夫婦で店を続ける上で大切にしていることだという。

【ご夫婦の写真】

「また来るね」が聞ける店を目指して

今後どのようなお店にしていきたいか尋ねると、店主はこう答えた。

「また来るね、と気軽に言っていただけるお店でありたいです。」

おいしいピザを作ること。

心地よい接客をすること。

地域とのつながりを大切にすること。

その積み重ねの先に、また来たいと思ってもらえる店がある。

「また来るね」。その言葉のためにピヱノは今日もピッツァを焼き続ける。

【基本情報】

住所

〒036-8003 青森県弘前市駅前町6-2 オスカーハウス1階店舗

定休日

毎週水曜日、第1木曜日

電話番号

050-8892-7754

ホームページ

https://pizzeriapieno.com

インスタグラム

https://www.instagram.com/pizzeria.pieno?igsh=MWRzOHk2ZnNzb3FwaQ==